Blenderでガラスや水など透明なものを作ろうとすると
伝播(Transmission)・粗さ(Roughness)・IORという3つの設定が必要になります。
前回投稿のグラスを作る記事でもこの3項目の設定がありました。
粗さはなんとなく想像つくけど…伝播?IOR?
聞きなれない言葉も多いですよね。

言われるがまま伝播を[1]にしたけど、実際何をしているのかわからない。
なんてモヤモヤしていませんか?
今回の記事では、「これらの項目を触ると見た目がどう変わるのか」を軸に
それぞれの意味と使い方についてまとめました。
初心者の方でもわかりやすいよう、噛み砕いて解説いたします。
前提:透明なガラスの表現に必要なものは「光の動き」
そもそも、無色透明なはずのガラスを目視できる理由をご存知でしょうか。
色が反射しているからではなく、ガラスが光を反射・透過・屈折させているからです。
その「光の動き」があるから、僕たちは目で捉えられるのです。
つまり、ガラスが置かれた環境が
- 光が全くない
- (周囲に)反射して映る物がない
という状態だと、ガラスを目視することはできません。
3DCGでのガラス表現も同じです。
環境に光や反射物(床や壁などの背景)を置いて、
オブジェクトに対して光を反射・透過・屈折するよう設定さえすれば
オブジェクトをガラス化することが可能です。
伝播・粗さ・IORは、この「光の動き」をコントロールするための設定です。
伝播(でんぱ)とは何か
伝播(=Transmission)は光がどれだけ物体を通り抜けるかを決めます。
伝播そもそもの言葉の意味は、簡単に言えば「伝わり広がること」です。
伝播を設定するとどうなるか
伝播を上げると、光が内部を通るようになり、
結果として「透けて向こう側が見える」状態になります。
ガラスが透明に見える=光が通っているということなのです。
透明度と伝播の違い
「透明度」と混合しそうになりますが、全く異なります。
透明度は「薄くして透明に表示する」ものであり、「光を通す処理をしている」わけではありません。
一方、「伝播」は「光を通り抜ける量を調節する」ものであり
現実世界のガラスを再現したリアルな表現が可能になります。
伝播の数値
- 伝播[0]:光を通さない
- 伝播[1]:光を通す
- 0-1の間も選択可能なので微調整できるが、基本的に0か1で良い
以下の画像はシミュレーションです。3つの球体いずれも粗さは[0]、IORは[1.45]。

伝播が0だと色を薄くしてもガラスにはならず、不透明なプラスチックのような見た目ですね。
伝播はなぜ[0か1]でいいの?
中央の伝播[0.8]は一見「タッパーやカプセルなどの半透明プラスチックの表現が出来そう」という印象ですよね。
しかし実際は、伝播を変えてしまうと後述するIORの影響も変わってくるので微調整したい時に設定がややこしくなります。慣れない内は伝播は[1]か[0]の切り替えだけに留めて、半透明感を出す場合は伝播ではなく粗さなどで調整した方が無難だと思います。
粗さとは何か
粗さ(=Roughness)はそのまま、表面の粗さ(荒さ)を指定する数値です。
伝播と違ってイメージし易いので、そこまで操作に抵抗がないと思います。
粗さの数値
- 粗さ[0]:ツルツル、鏡のような反射
- 粗さ[1]:ザラザラ、曇る
- 0-1の間も選択可能なので微調整できる
3つの球体いずれも伝播は[1]、IORは[1.45]。

粗さを上げると、背景の映り込みがぼやけますね。
濁りのない綺麗な透明にしたい場合は粗さを0に近づけます。
コップや窓ガラスなら、基本は低めにして
すりガラスなら高め、という考え方です。
粗さの数値はどのくらいにしておけば良いの?
おすすめ数値はありません。
実際に数値をいじってみて自分自身が「リアル(好み)」と満足できる見た目に設定できれば、それが正解です。
IORとは何か
IORは屈折率の調整をする項目です。
Index of Refractionの略ですが、意味はそのまま「屈折率」です。
屈折率とは、光が物体の中でどれだけ曲がるかです。
さらに簡単に言うと、反射の歪みの強さです。
IORの数値
- IORが[0]に近い:ほぼ歪まない
- IORの数値が大きい:大きく光が曲がるので歪む
3つの球体いずれも伝播は[1]、粗さは[0]。

左のIOR[0.10]は、周りの景色をほとんどそのまま反射しただけですね。透明な球体ガラスとしては映り方が不自然で、パチンコ玉のような透き通らないものに見えてしまっています。
※一部黒く見えるのは手前側(カメラより後ろ側)に壁などの反射物を置いていないからです。
中央のIOR[1.45]は、天井と壁が反転して映っています。球体ガラスっぽい歪み方ですね。
右のIOR[5.00]のように高く設定すると、まるで水中カメラのように歪みが強くなります。
IORの数値はどのくらいにしておけば良いの?
ガラスはおよそ1.45前後が目安と言われています。
なのでまずは1.45に設定してみて、お好みや作風に合わせて行くのが良いです。
重要なのは数値ではなく、「実際に背景がどう歪んで見えるか」を見ることなので、1.45に捉われずどんどん変更してしまいましょう。
とにかく自然でリアルな表現を目指している場合は、参考資料と比べながら調整してください。
作品に近しい形状のガラスを手元に用意したり、無理なら画像検索でOKです。
ダイナミックさを表現するためにわざと大袈裟に屈折させて強く歪ませても良いのです。あえて不自然さを演出して不気味に見せたい時なんかも効果的かもしれません。
作品をどう見せたいかが重要なので、必ずしも自然な反射である必要はありません。
伝播・粗さ・IORはワンセット
伝播・粗さ・IORは、どれか一つだけ上手に設定できれば良いという訳ではありません。
ガラスを作る時にやること
- 伝播[1]にして光を通す
- 粗さを[0]にして表面を滑らかにする
- IOR[1.45]にして歪ませる
この3つの設定を先にやってしまいましょう。
伝播は1でOKなので、あとは粗さとIORを微調整していけば良いのです。
工程は意外とシンプルです。
まとめ
伝播は「光をどれだけ通すか(内部を通る光の量に影響)」、
粗さは「表面をツルツルにするか・ザラザラにするか(曇り具合に影響)」、
IORは「光をどれだけ屈折させるか(光の歪み方に影響)」
ありとあらゆる書籍などの解説では
「〇〇の数値を0.5にして〜」等と細かく指示してくれています。
同じ見た目のものを完成させたいのであれば、その通りに入力すればOKです!
しかし提示された数値はあくまでも目安。決めるのは製作者の目です。
数値に拘りすぎず、好みの見た目になるまで根気よく調整することが大切になります。
ことこん試すと無限なので「それなりにガラスっぽく出来たぞ」と思えるところまで到達したら一旦止めましょう。
ある程度の見切りをつけて次の作業に移る勇気も、作品を完成させるためには大切です!
最後までお読みいただきありがとうございました。
ビン





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